被爆70年祈念特別Gセレクション 遺されたものたち vol.2
ベータ崩壊作品シリーズはアルファ崩壊に続く竹田信平のアートプロジェクトの一環。
9年間にわたり北米・南米8カ国にて行った60人以上の被爆者のインタビューを元に、場所と時間を越えた記憶を追求、そしてどのように被爆者の声と向き合い、そして現在の自分とをどう繋げるかという作業を、インスタレーションを通して行ってきた。
時間と場所によって打ち切られてしまったかのように見える記憶を再度”織り直す”という意味から、メキシコのオアハカ州テォティトラン・デ・バエという先住民の織り物の町で製作。
従来あるように、なにかを忘れないために建立される石碑のようなメモリアル(=モニュメント)ではなく、誰でもすぐに切れる繊細な糸を使い、その時と場所によりフォームが変わる空間彫刻を展示する。展示のタイトルはスペイン語のメモリア(個人のストーリ同時に集団の記憶という意味を持つ)という言葉を使い、それを現在進行形に行わなくてはいけないという動詞的提案を込めてメモリア(る)とした。
竹田信平公式ウェブサイト (www.shinpeitakeda.info)
1978年大阪生まれ
現在メキシコ・ティファナとドイツ・デュッセルドルフを拠点としてアーティストとして活動する。主にドキュメンタリー映画、写真、インスタレーション、ノイズ音楽、パブリックアート、コミュニティープロジェクト等を中心に媒体を越えて活動を展開。
作品はサンディエゴ美術館(アメリカ)、ティファナ国立美術館(メキシコ)、CENART (メキシコ市)、TJ in China (北京)、サンパウロ移民博物館(ブラジル)、京都芸術センター、丸木美術館等で展示。
2001年以来、難民や移民の子供に写真技術を教えるアート非営利団体THE AJA PROJECT (www.ajaproejct.org) を創始、現在でもアートディレクターとしてパブリックアートを製作。2005年以来、北米・南米に渡った被爆者をインタビューし、アーカイブ化する企画、その一環として、国連軍縮局と共同制作したwww.hiroshima-nagasaki.comなどがある。 2010年には米サンディエゴ市からのコミッションでパブリックアートを制作。
近年の映像作品は“日本に最も近いメキシコ”(48分、2008年)、“ヒロシマナガサキダウンロード”(73分、2010年)。
著書には”アルファ崩壊:原爆の記憶を現代美術はどう表現し得るか”(現代書館、2014年)、”海を越えたヒロシマ・ナガサキ”(ゆるり書房、2014年)などがある。
2006年以来”GHOST MAGNET ROACH MOTEL”パンクフォーマンス・ユニットを率いる。