Yoshihiko SHIKADA ”Dual Thinking”
一つの中に異なる二つの相を備えた写真作品を展示する。例えばそれは、古今や虚実といった、相対するような概念を扱ったものである。
これまで制作した作品には、事物を見比べる視点をもったものが多くある。真正でありながらどこかズレている、そのような両義的な構造に興味があるからだ。単に並べているだけ、シンメトリーな配置などは、そのことを強調するためともいえる。
「Dual Thinking」とは、それぞれ独立した考え方を、一個体のなかでほとんど同時に行うような感覚をイメージしている。心を一つに、ではなく、分心(ぶんしん)みたいな感じ。普段の生活でそんな状態だとたいへんだが、しかし、これほど多様に多機能に、事物を処理するモノに溢れた日常においては、はからずも実践されているのではないだろうか。
この展示では、そうした併存的な視点が基盤となっている作品を提示したい。コンセプチュアルな間違い探し、と思って見ていただければと思う。
受賞歴
2012 アインシュタイン・フォト・コンペティション X Vol.2 TARO NASU賞
2012 第64回広島県美術展 写真系大賞