作者より ―沼の絵についてー
アルツハイマーの母と障害者の弟を介護しながら、絵を描いている。
家族の介護は誰でも経験するものなのだが、想像以上の大変さで、四六時中家の中を駆け回る。しかも夜間の介護もあるので、常に睡眠不足だ。
このダブルケアラー生活に、今はずいぶん慣れてきたものの、初心者だった数年前は、沼の中にいるようなままならなさを嘆いていた時もあった。
そんな頃出会ったのが、このテーマ、「沼」である。
以来、「介護の沼」にとっぷりと浸かりながらも、その生活の中からいろんな題材を見つけて来ては、自身の心象風景とも言える「沼の絵」を描いている。
今回の展覧会で展示している「散々な一日の夜」は、「介護の沼」から見えた星空の絵。
これは、介護につきものの理不尽な出来事があった晩のこと、(真夜中、母に不審者と間違われ、家から追い出されそうになったことがあった。母は、すごい剣幕で「居てもらっては困るんです!」と言い、私を追いかけてきたのである。)
窓を開けると星空がご褒美のように広がっていて、「そんな小さなことで悩むな。」と笑っているかのように見えた。―そんな体験から描いたものである。
2021年からギャラリーGで個展を始め、今回で6度目となる。毎回見に来てくださる方、たまたま電停で目にとめ訪れてくださった方、そしてこんなつまらぬ自分に遠くからエールを送り続けてくれる友人…、すべての方々に、深く感謝申し上げたい。
2026年10月2日 中塩美知子
呉市出身。のどかな瀬戸内海と山に囲まれたこの地で育つ。
高校時代油絵に出会い、以来描き続ける。
《主な個展》
2013・2015・2017・2019 ・2021・2023・2025 楓ギャラリー(大阪市中央区)
2014・2016・2018・2022・2024・2026 ギャラリーアーティスロング(京都市三条通り)
2016 アートスペース銀座ワン(東京都中央区銀座)
2016 ギャラリープラネットルージュ(パリ7区)
2018~2026、毎年 岡アートギャラリー(岡山市中区)
2018 安芸高田市立八千代の丘美術館
2018・2019 ギャラリーベルタンポワレ(パリ1区)
2024 中和ギャラリー(東京日本橋)
2021・2022・2023・2024・2025 ギャラリーG(広島市中区)