Ignition Silhouette
レース観戦のために山に近づくと、けたたましい音が響いてくる。
その道中には歩道がなく、ここは自動車のために作られた道だと気づく。
辿り着くとガソリンやタイヤゴムの臭い、熱気が充満し、時速数百kmの世界であえて死を実感するという、遺伝子に操作されない生き方を選ぶ人間が闘争を繰り返している。
この日常から離れた山中の異界を私はまるで聖域のように感じる。
様々な規制強化という社会秩序の影響で、クルマ・バイクカルチャーは淘汰されつつある。
デジタル化され安全が担保される日常の身体感覚には見ることのできない精神性がそこには確かに存在していた。
衰弱しながらも点火を繰り返し、消えることのないそのシルエットを追いたい。
岡田 祐人
広島県生まれ。2024年広島市立大学大学院博士前期課程彫刻専攻修了。
主にクルマやバイクを起点としたカルチャーをテーマに、それらが持つ宗教的側面や身体性に焦点を当てて彫刻作品を制作している。
レースなどの、生死の価値観が曖昧になる非日常な空間での出来事を叙事詩的に捉え、その精神性や身体感覚の共有を試みる。
この展覧会は「gallery G × 広島市立大学芸術学部 共創展」として開催いたします