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菅 亮平個展 「Then we should call this a sacred place / なら、ここは聖地ではないか」

Ryohei Kan
Gateposts at Shiomachi Junior High School, Miyoshi City
2023 / Photography
Supported by Kensuke Hashimoto

 

 

  • 会期|2024.2.27(火)〜3.10(日)/ 月曜休廊
  • 時間|11:00〜19:00(最終日は17:00まで)
  • 協力|三次市立塩町中学校、田幸町内会連合会、広島市立中央図書館、中国新聞社
  • 助成|

 

gallery Gの斜向いの場所には、かつて観古館という美術館があった。原子爆弾の投下で完全に焼失した観古館だが、石製の門柱は被爆による破壊を免れ、現在も広島県三次市の中学校に残されている。門柱の歴史とその保存に関わる人々の姿をテーマにした展覧会。

 

 

  • イベント
    2.28(水)18:00 – オープニングトーク[なら、ここは聖地ではないか]予約不要
    3.2(土)13:00 – ワークショップ[広島市内の被爆門柱を訪ねて]要予約

    3.9(土)17:00 – ラウンジトークイベント[アートにおけるテーマとしての「ヒロシマ」]予約不要

     ※それぞれのイベントの詳細はページ下部をご覧ください

 

  • 開催趣旨|

 gallery Gで は、2024年2月27日(火)より3月10日(日)まで、広島を拠点に活動する美術作家 菅亮平の個展「Then we should call this a sacred place / なら、ここは聖地ではないか」を開催します。

 

 「何もない・空っぽ」を意味する「空虚(ヴォイド)」を主題とした創作に取り組んできた菅は、2013年以降ドイツに滞在し、世界大戦の悲劇や喪失を空白の空間をもって指示する、戦後西洋美術史におけるヴォイドの表象の系譜に関心を寄せてきました。

 2020年に広島に移住した菅は、世界で初めて原子爆弾が投下された広島の歴史性を踏まえて、アジアの戦後美術史における世界大戦への応答に関心を向け、2021年には原爆ドームの第5回保存工事で使用された塗料による絵画作品《K 15-30D》の制作を開始するなど、想起の芸術の今日的な可能性を追求しています。

 

 2023年には、広島県立美術館と縮景園連携企画「記憶の庭」において、戦前の縮景園に設立された国内最初期の私立美術館である観古館や、園内の蔵に保管され被爆による焼失を免れた能道具から着想を得た一連の作品を発表し、歴史に対するイマジネーションと慰霊の在り方を幅広い表現メディアを通して問いかけました。
 菅は広島県立美術館の展覧会に際して、旧広島藩主浅野家の大名庭園である縮景園に1913年に開館した観古館を、広島の近世と近代の結節点となる文化的エポックとして注目しました。1945年の原子爆弾投下により完全に焼失した観古館ですが、正門の石柱4本は被爆による破壊を免れました。そのうちの2本の石柱は1971年に広島県三次市大田幸町の塩町中学校の正門として移設され、現在も保存されています。これらの石柱は、かつての観古館の存在の痕跡を今に伝える唯一の文化遺産と言えます。

 

 本展は、石柱の精巧な3Dデータに基づく原寸大レプリカを中心に構成され、原子爆弾投下後から三次市に移築された経緯を追跡調査した内容について、関連資料と関係者のインタビュー映像を通して発表します。観古館の門柱の来歴とその保存に係る地域の人々の姿を見つめることで、広島の近世・近代史の伝承の意義について再考を促します。
 会期中には、オープニングトークイベント「なら、ここは聖地ではないか」、ラウンジトークイベント『アートにおけるテーマとしての「ヒロシマ」』を開催し、本展で菅が設定した主題とアプローチについて多角的な議論を共有する場を設けます。また、ワークショップ「広島市内の被爆門柱を訪ねて」では、ギャラリー付近の幾つかの被爆門柱をめぐり、広島に残された世界大戦の記憶を参加者とともに見つめ直します。

 

 皆様のご来場をお待ちするとともに、同門柱に関する情報をお持ちの方はぜひ忌憚なくギャラリーまでご一報をください。

 

 

お問い合わせメールアドレス:gg@gallery-g.jp (担当:松波)

 


 

  • 会期中イベント|
オープニングトークイベント:[なら、ここは聖地ではないか]

2024.2.28(水)18:00-19:00 
予約不要・参加費無料
登壇者:菅亮平(美術作家)/ 松波静香(gallery G ディレクター)
 
作家とディレクターの松波静香は、本展に向けて戦後に観古館の門柱が三次市に移築された経緯について、協同してリサーチに取り組みました。オープニングイベントのギャラリートークとして、本展の開催に対する問題意識やリサーチ内容をめぐって両者で対談します。トーク後にはレセプションパーティーを行います。
 
 
ワークショップ:[広島市内の被爆門柱を訪ねて]
2024.3.2(土)13:00-15:30 
要予約
講師:菅亮平(美術作家)/ 松波静香(gallery G ディレクター)
参加費:1000円(定員7名) / 申し込みはこちら:Google Form> 
 
本展はgallery Gの斜向いにかつて存在した観古館の被爆門柱に着目しています。このワークショップでは、gallery Gをスタート地点にして、上幟町から八丁堀、基町までを歩きながら、現存する被爆門柱の遺構を巡ります。観古館門柱跡地、幟町天主公教會門柱、世界平和記念聖堂、済美国民学校門柱、歩兵第十一聯隊門柱、広島陸軍幼年学校門柱、広島第二陸軍病院門柱を約二時間半をかけてまわり、太田川の土手付近で解散します。被爆門柱を通して広島に残された世界大戦の記憶を見つめ直す機会にしましょう。
 
 
ラウンジトークイベント:[アートにおけるテーマとしての「ヒロシマ」]
2024.3.9(土)17:00-19:00
予約不要・参加費無料
モデレーター:菅亮平(美術作家)/ 松波静香(gallery G ディレクター)
 
原子爆弾が広島に投下されてから約80年の時が経過した現在においてなお、「ヒロシマ」を主題とした作品制作に取り組むアーティストは後を絶ちません。そのテーマの同時代性や問題のアクチュアリティーについて、今日の私たちはどのように考えることができるのでしょうか。ここではラウンジトークの形式で、参加者とともに多角的なディスカッションを展開します。
 
 
 
 

 

菅 亮平(かん りょうへい)

 

1983年愛媛県生まれ。
2009年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、2011年に東京藝術大学大学院美術研究科油画技法・材料専攻修了。2013年に「ドイツ学術交流会奨学金(DAAD)」を受賞して以降、ミュンヘンと東京を拠点に活動し、2016年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士号(美術)を取得。2019年にミュンヘン国立造形美術アカデミー修了、フローリアン・プムへスル教授のもとでマイスターシューラー号を取得。
2019年より東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻非常勤講師を経て、2020年に広島市立大学芸術学部に講師として着任。また、2021年より広島県福山市の商業施設リノベーション再生事業「iti SETOUCHI(イチ セトウチ)」とともに発足した、コンテンポラリーアートの企画・運営事業を行う「Setouchi L-Art Project / 略称:SLAP(スラップ)」の立ち上げに携わり、2022年に総合ディレクターに就任。瀬戸内エリアの文化創生・振興プログラムの企画・監修・運営に取り組む。美術作家、大学教員、アートディレクターとして、アートの可能性を実践的立場から探求し続けている。

 

近年の主な個展に「Half-life of Archetype」(広島県立美術館 / 広島 / 2023年)、「K 15-30D」(広島芸術センター / 広島 / 2022年)、「Cube with Eye」(スイッチポイント / 東京 / 2019年)、「As you see it」(ヤマモト・ケイコ・ロシェックス / ロンドン / 2019年)、「In the Walls」(資生堂ギャラリー / 東京 / 2017年)、「Room A.EG_05」 (ミュンヘン国立造形美術アカデミー / ミュンヘン / 2014年)、「White Cube」(トーキョー・ワンダー・サイト / 東京 / 2013年)などがある。
主な受賞歴に「シェル美術賞2012 島敦彦審査員賞」(2012年)、「野村美術賞」(2015年)、「第一回枕崎国際芸術賞展 大賞」(2016年)、「デビュタント・スポンサーシップ 」(バイエルン州科学芸術省 / 2019年)などがある。

 

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