2017年06月13日
鞆の津ミュージアムで開催中の企画展『原子の現場』には、ボーダレスアートスペースHAP出身の大江泰喜、現代美術家・岡部昌生さん、野外上映会で上映した「ミリキタニの猫」のジミー・ミリキタニさんなど、ギャラリーGにもゆかりのある作家が参加しています。
核や戦争やその記憶にまつわる様々な表現を集めた、今見てほしい展覧会です。ぜひご一緒しませんか?
9:00 ギャラリーG集合
11:00 鞆の津ミュージアム「原子の現場」展鑑賞
12:00 津口在五さん(鞆の津ミュージアム学芸員)とめぐる鞆の津さんぽ
14:00 自由行動
15:00 鞆の津出発
17:00 ギャラリーG解散
学芸員の方に展覧会とその周辺をご案内していただきます。
貴重な機会ですので、是非ご参加くださいませ。
『 原子の現場 』
廣中 正樹、辛木 行夫、横田 礼右、藤登 弘郎、岡田 黎子、ゆだ苑所蔵「被爆者の絵」、ジミー・ツトム・ミリキタニ、ガタロ、大江 泰喜、岡部 昌生、瀬尾 夏美、鈴木 智、平井 有太、A3BC:反戦・反核・版画コレクティブ、広島県立福山工業高等学校電子機械科 計算技術研究部、広島平和記念資料館所蔵「原爆の絵」(複製)
私たちの身のまわりには、差別や偏見、それにもとづくヘイトスピーチなど、個別の生を蔑ろにする不可視の暴力や対立が日常的に存在しています。また現在でも、世界各地で命を奪い合う非道な戦争や争いは絶えることがありません。そのように、私たちの存在を交換可能な「数」として無きものとする態度には、私たちがそれぞれ様々なことを感じ思う心身をそなえた生身の人間である、という当然の事実への想像力が欠如しているのではないでしょうか。
本展は、原子爆弾で被爆した経験を持つ方や戦争経験者が自身の体験をもとに自作した創作物をはじめ、直接の戦争経験はない世代の者たちが制作した核や戦争やその記憶にまつわる表現を展示するものです。
ひとりの市民が現にこの世で体験した尋常ならざる現実にもとづく表現は、そこで感じられた「現場」の様子を伝えようとする一人称の伝言に他なりません。それは、不条理な仕方で奪われてしまった生の記録であると同時に、心に秘められている多様な想いや記憶を映し出す鏡でもあります。私たちは、自分が感じたことを直接には他者と分有できないという意味で、極めて「孤独」な存在と言えるでしょう。しかし、私たちはこの鏡を通じて個別の生とその記憶にふれることで、今ある言葉やかたちには現すことさえできないような空前絶後の現実を想像し、そのような経験を受け継いでいく機会を手に入れることができるはずです。
生の固有性をめぐるこのような交感を行う中で、私たちは互いの生を尊重し、共に在るための方法を考え始めることができるのかもしれません。(鞆の津ミュージアムホームページより)