中塩美知子展 -沼の絵-
呉市出身
《主な個展》
2013・2015・2017・2019 ・2021 ・2023年 楓ギャラリー(大阪中央区)
2014・2016・2018・2022・2024年 ギャラリー・アーティスロング(京都三条通り)
2016年 アートスペース銀座ワン(東京銀座)
2016年 ギャラリー・プラネットルージュ (パリ7区)
2018以後毎年 岡アートギャラリー(岡山市中区)
2018年4月~翌年3月 安芸高田市立八千代の丘美術館
2018・2019年 ギャラリー・ベルタンポワレ (パリ1区)
2024年 中和ギャラリー(東京日本橋)
2021・2022・2023年 ギャラリーG(広島市中区)
(作者より)
最近になって、「沼」をテーマとした絵を数多く描いている。なぜ沼の絵なのか、それについてまず述べたいと思う。
ダブルケアラーをしている作者。まるで沼の中にいるような、(ともすれば沈みこんでしまいそうな)、なかなか思い通りにならない日々の中で絵を描いている。誰でもそういう時期を経験するものだが、なかなか大変な毎日だ。
身軽になんでも出来ていた40代を振り返り、ある時友人に、「40代は人生の黄金時代、50代は沼の中にいるような時代。」と話したことがあった。
するとその友人は後日手紙をくれ、そこには、
「沼って美しいものなのじゃないかしら。何色なんだろう。」と書いてあった。
その言葉が、沼シリーズを描くきっかけとなった。
「泥沼」と思っていた沼は、けっしてそれだけではないのだ。そこにも草が繁り、光が差す。それはまるで、思い通りにいかない人生の中にもある、豊かな瞬間に似ている。
そんな沼の美しさを描いてみたいと思った。
沼は、長い時間の経過とともに、雨水が土にしみこんで地下水となり、その一部が湧き出して出来たものである。そこには、暗みと光と豊潤さが混然とした世界がある。
人の心の中にも、沼のようなものがあるのではないだろうか?
それは清らかな水のようであったり、人生のあらゆる紆余曲折を経て、嬉しいのやら悲しいのやら一切が混濁したようなものであったり、沼の水面に反射する夕日のような希望であったり…。
今回の作品「 金の沼」は、作者の心の中に在る「沼」の情景を描いたものである。
2021年からギャラリーGで個展を始め、今回で4度目となる。
毎回見に来てくださる方、たまたま電停で目にとめ訪れてくださった方、こんなつまらぬ自分に遠くからエールを送り続けてくれる友人、すべての方々に、深く感謝申し上げたい。
2024年9月25日 中塩 美知子